歯ぎしり・食いしばりがあってもインプラントはできる?割れないための対策と長持ちの条件
こんにちは。三重県鈴鹿市にある歯医者、大木歯科医院です。
「歯ぎしりがあるとインプラントはできないと聞いた」「せっかく入れたインプラントが割れないか心配」という方に向けて、歯ぎしり・食いしばりとインプラントの関係を解説します。
先にお答えすると、歯ぎしり・食いしばりがあっても、インプラント治療ができないわけではありません。当院でも、多くの場合、治療を進めることができます。骨の状態を確認したうえで判断し、噛み合わせの設計やマウスピース、定期検診で力の負担を抑えていくことが大切です。
食いしばり・歯ぎしりそのものの原因やサイン、対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
こんな方は歯ぎしり・食いしばりがあるかもしれません
寝ている間の歯ぎしりや、日中の無意識の食いしばりは、ご自身では気づきにくい癖です。次のような心当たりがある方は、インプラント治療の前にお伝えいただけると、より安心して治療計画を立てられます。
- 家族やパートナーに、寝ている時の歯ぎしりの音を指摘されたことがある
- 朝起きたときに、あごが疲れている・こわばっている
- 歯がすり減って平らになっている、欠けたことがある
- 仕事や家事に集中しているとき、気づくと上下の歯をかみしめている
当てはまる項目がなくても、歯ぎしり・食いしばりがある場合があります。治療前の診察で、歯や筋肉の状態から確認いたします。
インプラントは歯ぎしりの影響を受けやすい
歯ぎしりの影響を受けやすい理由
天然の歯とインプラントの大きな違いは、「歯根膜(しこんまく)」の有無です。歯根膜は、歯の根と骨のあいだにある薄い膜で、噛んだときの力をやわらげるクッションと、噛む力を感じ取るセンサーの役割をしています。
インプラントは骨と直接結合しているため、この歯根膜がありません。そのため、噛む力がクッションを通さずに骨へ伝わり、強い力がかかっても気づきにくいとされています。
| 比較項目 | 天然の歯 | インプラント |
|---|---|---|
| 歯根膜(クッション) | ある | ない |
| 力を感じ取る目安 | 約10gの力から感じ取れる | 約100gの力にならないと感じ取りにくい |
| 力の伝わり方 | 歯根膜で分散されてから骨へ | 骨へ直接伝わる |
歯ぎしり・食いしばりで強い力がかかっても、インプラントでは違和感として気づきにくいため、知らないうちに負担が続く場合があります。そのため、あらかじめ対策を考えておくことが大切です。
歯ぎしりでインプラントに起こりうるトラブル
歯ぎしり・食いしばりの力がインプラントにかかり続けると、一般的に次のようなトラブルが起こる可能性があるとされています。
- 人工歯(上部構造)の欠け・割れ
- 人工歯を固定しているネジのゆるみ
- 治療中(骨と結合する前)のインプラントへの負担
歯ぎしりは、被せ物の欠けやネジのゆるみのリスクを高める要因の一つと報告されています。また、インプラントが骨としっかり結合する前の時期に、歯ぎしりの力が特定のインプラントに集中すると、脱落のリスクが高まるとされています。
いずれも、早めに気づいて対応することで、大きなトラブルを防ぎやすくなります。治療前の確認と、治療後の定期検診が重要になる理由です。
治療前の確認
大木歯科医院では、インプラント治療の前に、歯ぎしり・食いしばりの有無を次のような点から確認しています。
- 問診:歯ぎしりの指摘、朝のあごの疲れ、日中の食いしばりの自覚など
- 歯のすり減り:歯の先端や噛む面の状態
- 筋肉の張り:噛む筋肉(咬筋など)の発達やこわばり
- 骨の状態:CT検査で骨の量や質を確認
なお、歯のすり減りは年齢や食生活の影響も受けるため、すり減りがあるからといって必ずしも歯ぎしりがあるとは限りません。複数の情報を合わせて判断し、結果は治療計画とあわせてわかりやすくご説明いたします。
インプラントを歯ぎしりから守るための対策
噛み合わせの設計と調整
インプラントには歯根膜がないため、周りの天然の歯との力のバランスを考えて噛み合わせを調整することが大切とされています。特に、いちばん奥にあるインプラントの人工歯には力が集中しやすいため、形や噛み合わせに配慮して設計します。
また、歯ぎしり・食いしばりが強い方の場合、手術後すぐに仮歯を入れる「即時荷重」が適しているかどうかも慎重に判断します。即時荷重については、こちらの記事をご参照ください。
人工歯の素材
当院のインプラントの人工歯(上部構造)は、セラミックを使用しています。素材の種類や特徴については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
マウスピース(ナイトガード)
寝ている間の歯ぎしりを、自分の意思で確実に止める方法はないとされています。そのため、歯ぎしりの力からインプラントや歯を守ることを目的に、マウスピース(ナイトガード)が使われます。
当院では、インプラント治療後にマウスピースを全員に作製しているわけではありません。歯ぎしり・食いしばりが強い方には、マウスピースの使用をおすすめしています。歯ぎしり・食いしばり用のマウスピースは、保険診療で作製しています。
日中の食いしばりへの意識
食いしばりは寝ている間だけでなく、日中に起こることもあります。上下の歯は、食事や会話のとき以外は離れているのが自然な状態です。パソコン作業中など、気づいたときに歯を離す習慣をつけることも、インプラントへの負担を減らすことにつながります。
インプラント治療後は
治療後は3〜6か月ごとの定期検診を
お口の中の噛み合わせは、天然の歯の移動や人工歯のすり減りなどによって、少しずつ変化していきます。当院では、インプラント治療後は3〜6か月に1回の定期検診をお願いしております。
定期検診では、インプラント周囲の歯ぐきや骨の状態に加えて、噛み合わせ、人工歯の欠けやネジのゆるみがないかを確認します。歯ぎしりのある方にとっては、小さな変化を早めに見つけて調整できる大切な機会です。
インプラント10年保証の条件
当院では、インプラント治療に10年保証を設けています。保証を受けていただくための条件は次のとおりです。
- 最低6か月に1度、大木歯科医院にご来院いただくこと
- 歯ぎしりをされる方は、歯ぎしり防止用マウスピースの使用を保証の条件とさせていただく場合があること
マウスピースの使用を条件とするのは、歯ぎしりの力からインプラントを守り、長く使っていただくためです。保証の詳しい内容は、治療前のご説明時にご案内いたします。
大木歯科医院のインプラント保証制度についてはこちら
歯ぎしりは天然の歯にも影響します
歯ぎしり・食いしばりの力は、インプラントだけでなく、残っている天然の歯にもかかります。歯がしみる知覚過敏や、神経を取った歯の根が割れる歯根破折などにつながることもあります。
詳しくはこちらの記事もあわせてご参照ください。
よくある質問
Q. 市販のマウスピースでも大丈夫ですか?
市販品は手軽に試せますが、歯並びに合わない場合や、噛み合わせの調整ができない場合があります。インプラントは天然の歯と力の感じ方が異なるため、合わないマウスピースで力のかかり方が偏らないよう、歯科医院で作製したものをお使いいただくことをおすすめしております。
Q. 寝ている間の歯ぎしりは、自分で気づけますか?
寝ている間の歯ぎしりは、ご自身では気づきにくいことが多いとされています。家族からの指摘や、朝のあごの疲れ、歯のすり減りなどがきっかけで気づく方もいます。気になる場合は、診察の際にお気軽にご相談ください。
Q. インプラントの人工歯が欠けたらどうなりますか?
人工歯の欠けは、程度によって調整や修理、作り直しで対応するのが一般的です。欠けたまま使い続けると、噛み合わせが変わったり、周りの歯に負担がかかったりすることがあるため、気づいた時点で早めにご連絡ください。
Q. インプラント治療後に歯ぎしりが始まった場合は?
ストレスや生活の変化などで、治療後に歯ぎしり・食いしばりが出てくることもあります。定期検診で人工歯のすり減りや噛み合わせの変化を確認し、必要に応じてマウスピースの作製や噛み合わせの調整をご提案いたします。
まとめ
歯ぎしり・食いしばりがあっても、インプラント治療ができないわけではありません。インプラントの特徴を理解し、力の負担を抑える工夫を続けることが、長持ちにつながります。
- 歯ぎしり・食いしばりがあっても、当院ではお断りすることはほとんどなく、骨の状態を見て判断している
- インプラントには歯根膜(クッション)がなく、強い力がかかっても気づきにくい
- 起こりうるトラブルは、人工歯の欠け・ネジのゆるみ、治療中(骨と結合する前)のインプラントへの負担など
- 対策は、噛み合わせの設計と調整、歯ぎしりが強い方のマウスピース、日中の食いしばりへの意識
- 治療後は3〜6か月ごとの定期検診で、噛み合わせの変化を早めに確認する
三重県鈴鹿市にある歯医者、大木歯科医院では、CT検査やカウンセリングをもとに、患者さまお一人おひとりに合わせた治療のご提案と、丁寧でわかりやすいご説明を心がけております。「歯ぎしりがあるけれどインプラントができるか知りたい」「マウスピースについて詳しく聞きたい」など、どのようなご相談でも承っております。
ご予約・お問い合わせは、お電話またはWEB予約フォームより承っております。まずはお気軽にご相談ください。
ご予約はこちら
参考文献
- 公益社団法人 日本口腔インプラント学会「インプラントの咬合付与について」第44回学術大会シンポジウム概要(2017年) https://www.shika-implant.org/shika/wp-content/uploads/2024/05/gakujutucontents_15.pdf
- 日本補綴歯科学会誌 第17巻1号(2025年)依頼論文「インプラント補綴後のトラブルと対策」 https://hotetsu.com/files/2025/irai2025_1_05.pdf
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や治療方法は、お口の状態によって異なります。実際の治療については、診察のうえで歯科医師にご相談ください。
略歴
- 国立徳島大学歯学部卒業
- American Academy of Implant Dentistry
- Associate Fellow
- Astra tech implant インストラクター
- Osstem implant インストラクター
- 歯科医師臨床研修指導歯科医
資格・所属学会
- アメリカインプラント学会(AAID)
- 日本口腔インプラント学会
- 日本審美歯科学会
- 日本臨床歯周病学会
- 日本小児歯科学会
- 東京SJCD会員
一人ひとりの多様なニーズにお応えします
当院は難しい症例を含む多くの症例を経験しており、患者様の理想通りの治療をご提供できるよう、チーム一丸となって取り組んでいます。