歯科ブログ

食いしばり・歯ぎしりで歯が痛い・割れるのはなぜ?原因とマウスピースによる対策

こんにちは。三重県鈴鹿市にある歯医者、大木歯科医院です。

「朝起きるとあごが疲れている」「家族に歯ぎしりを指摘された」「冷たいものがしみる、噛むと歯が痛い」。こうした症状の背景には、食いしばり・歯ぎしりが隠れていることがあります。

結論からお伝えすると、食いしばり・歯ぎしりは自分では気づきにくい一方で、歯のすり減りや欠け、知覚過敏、歯の根が割れる歯根破折(しこんはせつ)、被せ物の破損などに関係するとされています。歯を守るための基本的な対策は、歯科医院で作るマウスピース(ナイトガード)です。当院では、マウスピースを保険診療で作製しています。

この記事では、歯科の学会誌などで報告されている知見をもとに、食いしばり・歯ぎしりのサインや原因、放置したときに起こりうること、マウスピースをはじめとした対策について、三重県鈴鹿市の大木歯科医院がわかりやすく解説します。

食いしばり・歯ぎしりとは?

食いしばり・歯ぎしりは、専門的には「ブラキシズム」と呼ばれます。国際的な睡眠障害の分類では、歯をくいしばる・すり合わせるなどの、あごの筋肉が繰り返し働く状態と定義されています。主に次のようなタイプがあります。

  • 歯ぎしり(グラインディング):上下の歯をギリギリとすり合わせる
  • 食いしばり(クレンチング):上下の歯をぐっと強くかみしめる
  • タッピング:上下の歯をカチカチと小刻みに打ち合わせる

また、ブラキシズムは「寝ている時(睡眠時)」と「起きている時(覚醒時)」で起こり方や原因が異なるため、分けて考えることが一般的です。

日本人を対象とした調査では、寝ている時の歯ぎしりを自覚している方は20〜40代で約10%と報告されており、年齢が上がるにつれて少なくなる傾向があるとされています。25〜35歳の方にとっても、決してめずらしい癖ではありません。

こんなサインはありませんか?

次のような症状がある場合、食いしばり・歯ぎしりが関係している可能性があります。

  • 家族やパートナーに、寝ているときの歯ぎしりの音を指摘された
  • 朝起きたときに、あごが疲れている・こわばっている
  • 頭痛や肩こり、首のこりが続いている
  • 歯がすり減って平らになっている、歯の先が欠けている
  • 冷たいものがしみる、噛むと歯が痛い
  • 頬の内側や舌のふちに、歯の跡がついている
  • 歯ぐきの内側や上あごに、骨のふくらみ(骨隆起)がある

寝ている時の歯ぎしりによる朝のあごの疲れやこわばりは、午前中のうちに消えることが多いとされています。そのため「気のせいかな」と見過ごされやすい点に注意が必要です。

骨隆起(こつりゅうき)は、あごの骨の一部がこぶのようにふくらんだもので、噛む力の強さが関係していると考えられています。多くは痛みのないものですが、気になる場合はご相談ください。

寝ている時と日中の食いしばりの違い

食いしばり・歯ぎしりは、寝ている時だけでなく、起きている時にも起こります。それぞれ特徴が異なります。

比較項目寝ている時(睡眠時)起きている時(日中)
主なタイプ歯ぎしり・食いしばり食いしばりが中心
気づき方家族の指摘、朝のあごの疲れ、歯のすり減り作業中にふと気づく、夕方のあごや肩のこり
起こりやすい場面眠りが浅くなるタイミングパソコン作業、スマートフォン操作、運転、家事など集中しているとき
主な対策マウスピースで歯を守る歯を離す意識づけ、生活習慣の見直し

寝ている時(睡眠時)

寝ている時の歯ぎしりは、眠りが一時的に浅くなる瞬間(微小覚醒)にあわせて起こることが多いと報告されています。眠っている間のことなので自分で止めることは難しく、マウスピースで歯を守る対策が基本になります。

起きている時(日中)

何かに集中しているときに、無意識に上下の歯を接触させたり、かみしめたりしていることがあります。食事や会話を含めても、上下の歯が触れている時間は1日に合計20分ほどとされています。何もしていない時に上下の歯が触れている状態が続く癖は「TCH(歯列接触癖)」と呼ばれ、あごの痛みなどとの関係が指摘されています。

食いしばり・歯ぎしりの主な原因

原因はひとつに特定できないことが多く、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。歯科の学会誌では、次のようなものがリスク因子として挙げられています。

ストレスや緊張

仕事や家庭でのストレス、緊張が続く状態は、食いしばり・歯ぎしりと関係があるとされています。

飲酒・喫煙・カフェイン

寝る前の飲酒(寝酒)や喫煙、カフェインの多い飲み物は、寝ている時の歯ぎしりのリスク因子とされています。

睡眠の状態

睡眠時無呼吸症候群など、眠りが浅くなりやすい状態は、寝ている時の歯ぎしりのリスクになると報告されています。大きないびきや、寝ている時の呼吸の止まりを指摘されたことがある方は、医科での相談もあわせてご検討ください。

お薬の影響

一部のお薬の中には、歯ぎしりを強めるものがあるとされています。服用中のお薬がある場合は、診察時にお知らせください。

放置すると歯に起こりうること

歯科の学会誌では、食いしばり・歯ぎしりと関係するトラブルとして、歯のすり減りや歯根破折、被せ物の破損、インプラントの脱落、あごの関節の不調などが挙げられています。

歯のすり減り・欠け

歯の表面のエナメル質がすり減ったり(咬耗)、歯の先が欠けたりすることがあります。なお、歯のすり減りは年齢や食生活の影響も受けるため、すり減りがあるからといって必ずしも歯ぎしりが原因とは限りません。

知覚過敏

すり減った部分や、歯と歯ぐきの境目に力が集中することで、冷たいものがしみる知覚過敏が起こることがあります。詳しくはこちらの記事もあわせてご参照ください。

歯根破折(歯の根が割れる)

特に神経を取った歯は、強い力がかかると根が割れることがあります。歯根破折は抜歯が必要になる場合もあるため、注意したいトラブルのひとつです。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

被せ物やインプラントへの負担

被せ物や詰め物が欠けたり、外れたりする原因になることがあります。インプラントには、天然の歯にあるクッションの役割をする組織(歯根膜)がないため、強い力の影響を受けやすいとされています。

食いしばり・歯ぎしりがある方のインプラント治療については、「歯ぎしり・食いしばりがあってもインプラントはできる?割れないための対策と長持ちの条件」の記事で詳しく解説します。

あごの痛み・頭痛・肩こり

あごの筋肉が疲れることで、あごの関節の痛みや口の開けにくさ、頭痛や肩こりにつながることもあります。

対策①歯科医院で作るマウスピース(ナイトガード)

寝ている時の食いしばり・歯ぎしりから歯を守る基本的な対策は、寝ている間に装着するマウスピース(ナイトガード)です。マウスピースが歯の代わりに力を受け止めることで、歯や被せ物のすり減り・欠けを防ぎ、あごへの負担をやわらげる効果が期待できます。

なお、マウスピースは食いしばり・歯ぎしりそのものを止めるものではなく、歯を守るための装置です。また、睡眠時無呼吸症候群がある方では、マウスピースの種類によって適さない場合があるため、いびきや無呼吸を指摘されたことがある方は事前にお知らせください。

大木歯科医院では保険診療で作製しています

大木歯科医院では、歯科医師が診察し、食いしばり・歯ぎしりによる歯への影響を確認したうえで、マウスピースを保険診療で作製しています。歯型をとり、一人ひとりの歯並びに合わせて作ります。

市販のマウスピースとの違い

市販のマウスピースは手軽に試せる一方で、歯並びにぴったり合わない場合があります。主な違いは次のとおりです。

比較項目歯科医院で作るマウスピース市販のマウスピース
作り方歯型をとって一人ひとりに合わせて作製お湯で柔らかくして形を合わせるものが一般的
フィット感歯並びに合わせて作るため、ずれにくい合わない部分が出ることがある
噛み合わせの調整歯科医師が装着後に確認・調整自分で調整する必要がある
歯の状態の
確認
すり減りや欠け、被せ物の状態もあわせて確認できる歯の状態は確認できない
費用保険適用の場合、3割負担で数千円程度が一般的商品によって異なる

市販品はあくまで一時的な対応として考え、歯のすり減りやしみる症状がある場合は、歯科医院で歯の状態を確認することをおすすめしております。

対策②日常生活でできること

日中の食いしばりには、「上下の歯が触れていることに気づき、離す」習慣づくりが基本です。マウスピースとあわせて、次のような工夫があります。

  • 上下の歯が触れていることに気づいたら、歯を離して力を抜く
  • パソコンやスマートフォンのそば、冷蔵庫など目につく場所に「歯を離す」と書いたメモを貼る
  • 頬やこめかみのあたりの筋肉を、指でやさしくほぐす
  • 寝る前の飲酒や喫煙、カフェインを控えめにする
  • 入浴やストレッチなどで、体をリラックスさせる時間をつくる

メモを見るたびに歯を離すことを繰り返すと、少しずつ無意識でも歯が離れるようになるとされています。強いマッサージは筋肉を痛めることがあるため、気持ちよいと感じる程度の力で行っていただければと思います。

ボトックス注射について

食いしばりへの対応として、噛む筋肉(咬筋)にボツリヌス製剤を注射する方法(ボトックス注射)があります。筋肉の働きをおさえることで、食いしばる力を弱める効果が期待されるもので、主に美容医療などのクリニックで行われています。

ただし、国内で承認されているボツリヌス製剤の効能に、歯ぎしり・食いしばりは含まれていません。そのため、食いしばりへの使用は承認された効能以外での使用(適応外使用)となり、自由診療で行われています。また、効果は数か月程度の一時的なもので、根本的な治療にはならないとする専門家の意見もあります。検討される場合は、効果やリスク、費用について十分な説明を受けたうえで判断されることをおすすめします。

なお、当院ではボトックス注射は行っておりません。マウスピースによって歯を守る対策と、定期検診での歯や噛み合わせの確認を中心にご提案しております。

よくある質問

Q. 市販のマウスピースでも大丈夫ですか?

市販品は手軽に試せますが、歯並びに合わない場合や、噛み合わせの調整ができない場合があります。すでに歯のすり減りや欠け、しみる症状がある場合は、歯の状態の確認もかねて、歯科医院で作製することをおすすめしております。

Q. マウスピースは保険で作れますか?

当院では、歯科医師が診察し、食いしばり・歯ぎしりによる歯への影響を確認したうえで、保険診療で作製しています。費用は3割負担で数千円程度が一般的ですが、検査などの内容によって異なります。

Q. 食いしばり・歯ぎしりは治りますか?

ストレスや睡眠の状態、生活習慣などさまざまな要因が関係するため、完全になくすことは難しい場合が多いとされています。そのため、マウスピースで歯を守りながら、日中の歯を離す習慣づくりや、定期検診での確認を続けていくことが大切です。

まとめ

食いしばり・歯ぎしりは自覚しにくい癖ですが、歯のすり減りや欠け、知覚過敏、歯根破折などにつながる可能性があります。

  • 寝ている時の歯ぎしりを自覚している方は、20〜40代で約10%と報告されている
  • 寝ている時と日中では起こり方が異なり、対策も分けて考える
  • 寝る前の飲酒・喫煙・カフェイン、ストレス、睡眠の状態などがリスク因子とされている
  • 歯を守る基本的な対策は、歯科医院で作るマウスピース(ナイトガード)

三重県鈴鹿市にある歯医者、大木歯科医院では、CT検査やカウンセリングをもとに、患者さまお一人おひとりに合わせた治療のご提案と、丁寧でわかりやすいご説明を心がけております。「食いしばりがあるか確認してほしい」「マウスピースについて詳しく聞きたい」など、どのようなご相談でも承っております。

ご予約・お問い合わせは、お電話またはWEB予約フォームより承っております。まずはお気軽にご相談ください。

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食いしばり・歯ぎしりがある方のインプラント治療については、「歯ぎしり・食いしばりがあってもインプラントはできる?割れないための対策と長持ちの条件」の記事をご覧ください。

参考文献

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や治療方法は、お口の状態によって異なります。実際の治療については、診察のうえで歯科医師にご相談ください。

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