管理栄養士ブログ

食育は姿勢から!もぐもぐ力アップで笑顔の食卓へ

こんにちは。三重県鈴鹿市にある大木歯科医院の管理栄養士、脇です!
「食べるときにクチャクチャ音がする」「食べるのが遅い」「丸飲みしている」など、
お子さんの“食べ方”にお悩みの親御さんは多いのではないでしょうか。

実はその原因、「食べるときの姿勢」が関係していることが少なくありません。
今回は、食育の第一歩として大切な「正しい食べる姿勢」についてお話しします。

なぜ「食べる姿勢」が大切なの?

日本歯科学会の調査によると、就学前のお子さんを持つ保護者の約半数が「食べること」に関して何らかの悩みを抱えているそうです。
安全で楽しい食事には、以下の3つの要素が欠かせません。

  1. 形態(からだの構造)
  2. 機能(筋肉・神経の発達)
  3. 意欲(心の動き)

ここにもう一つ大切なのが、「食べる姿勢」です。
姿勢が悪いと、飲み込みにくくなったり、誤嚥のリスクが高まったりします。
逆に、正しい姿勢を身につけることで、お口の筋肉をしっかり使い、「噛む力=もぐもぐ力」が自然に育っていきます。

基本の「食べる姿勢」4つのポイント

① 背筋を伸ばし、軽く前かがみになる

背筋をピンと伸ばして座ることで、胸が開き、呼吸や飲み込みがスムーズになります。
ポイントは、軽く前かがみになること。頭をほんの少し前に倒すだけで、気道と食道の通り道が分かれ、誤嚥(食べ物が気管に入ること)を防ぎやすくなります。
反対に、上体を反らせたり、頭を後ろに倒した姿勢では食べ物が気管に入りやすくなり危険です。

② 顎を軽く引く

顎を軽く引くことで、のどの奥(咽頭部)の筋肉が働きやすくなり、「飲み込む力(嚥下力)」をサポートします。
顎が上がっていると、食べ物がまっすぐ気管に流れ込みやすくなるため、むせたり、誤嚥のリスクが高まります。
顎を「引く」動作は、首や肩の力を抜き、頭を安定させる効果もあります。
お子さんの場合は、椅子と机の高さバランスが合わないと顎が上がりがちなので注意しましょう。

③ 椅子に深く腰をかける

椅子に浅く座ると、骨盤が後ろに倒れて背中が丸まり、結果的に猫背姿勢になります。
背中が丸まると胸郭(きょうかく:胸の骨格)が圧迫され、呼吸が浅くなったり、飲み込みづらくなったりします。
一方、椅子に深く腰かけて骨盤を立てると、自然に背筋が伸び、上半身が安定します。
骨盤が立っている姿勢は、お口や顎の筋肉をバランスよく動かせるので、「噛む力(もぐもぐ力)」を育てる基本姿勢です。

④ 足の裏をしっかり床につける

足が床につかずブラブラしていると、下半身が不安定になり、体を支えられずに姿勢が崩れやすくなります。
特にお子さんは体が小さいため、椅子が高く足が浮いてしまうケースが多いです。
足が安定しないと、骨盤が後ろに倒れて背中が丸くなり、上体が前に倒れることで猫背に。
これを防ぐには、足台を使うのがおすすめです。足の裏がしっかり台につくことで、全身のバランスが整い、自然に姿勢が安定します。

補足:机と椅子の高さバランスも大切!

机が高すぎると、肘や肩を持ち上げて食べる姿勢になり、背中や首に力が入ってしまいます。
一方、椅子が高すぎると足が浮き、骨盤が後ろに倒れて猫背に。
理想は、

  • 肘が自然に曲がり、楽に腕を机に置ける高さ
  • 足の裏が床(または足台)にしっかりつく高さ

このバランスが取れていると、骨盤・背骨・頭の位置が自然に整い、噛む力・飲み込みやすさ・集中力がぐっと高まります。
お子さんが無理のない姿勢で座れているか、日々の食事の中で観察してみましょう。

姿勢が整うと「おいしい!」が増える理由

正しい姿勢はお口の筋肉をバランスよく動かす姿勢です。
よく噛めるようになると唾液の分泌が増え、味を感じやすくなります。
唾液と一緒に味物質が舌に届くことで、「おいしい」と感じる力が高まります。

さらに「おいしい!」と感じると、脳内でセロトニンが分泌され、幸せな気持ちになります。
これは食べる意欲にもつながり、心の発達にも良い影響を与えます。

正しい姿勢は「歯並び」にも影響!

食べるときに使う筋肉がしっかり働くことで、顎や舌、唇の発達が促されます。
その結果、歯並びやお口ポカンの予防にもつながります。
まさに「姿勢から育てる食育」ですね!

さいごに:家族みんなで姿勢を見直そう

食べる姿勢は子どもだけの課題ではありません。
大人も同じように、姿勢を正すことで噛む力や飲み込みやすさが向上します。
今日の食卓から、家族みんなで「正しい食べ方」を意識してみませんか?

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