インプラントとは?中高年の歯の健康とオーラルフレイル予防に向けて
歯が抜けたままの状態をそのままにしていませんか?加齢や病気などで歯を失ってしまったとき、「年だから仕方ない」と諦めて放置してしまう方も少なくありません。しかし、歯を失ったままにしておくと、見た目や食事の不便さだけでなく全身の健康にも影響が及ぶことがわかっています。そこで注目されるのが、失った歯を補い、再びしっかり噛める喜びを取り戻すための治療法「デンタルインプラント(インプラント治療)」です。
三重県鈴鹿市の大木歯科医院でも、多くの患者様がインプラント治療によって快適な食生活を取り戻されています。当院は症例数の多さと歯科用CT完備を特徴とし、豊富な経験と最新設備に基づいた安全・精密なインプラント治療をご提供しています。この記事では、インプラント治療の概要と仕組み、インプラントのメリット(審美性・機能性・耐久性)、入れ歯やブリッジとの比較、さらには噛めることの重要性と全身への影響、オーラルフレイルの予防や認知症リスクとの関係まで、専門的な内容をできるだけわかりやすく解説します。歯を失ったままにしている方、中高年の方、オーラルフレイルが気になる方は、ぜひ最後までお読みいただき、インプラントについての理解を深めてください。
インプラント治療の概要と仕組み
まずインプラント(デンタルインプラント)とは、失った歯の部分に人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込む治療法です。虫歯や歯周病、外傷などで歯を失った際の選択肢の一つで、ブリッジや入れ歯とは異なり顎の骨に直接人工歯根を固定するのが特徴です。インプラント体は主にチタン合金や純チタンで作られており、生体親和性(体になじみやすい性質)が高く骨と結合しやすい性質を持っています。
インプラントの構造は大きく3つの部分から成ります。まずインプラント体(人工歯根)と呼ばれるネジ状の金属を顎の骨に埋め込みます。このインプラント体が顎の骨と結合して安定した土台となったら、アバットメント(連結部品)という土台を取り付け、その上に上部構造(人工の歯となるクラウン)を装着します。なお、インプラント治療は通常、治療計画・精密検査の後にインプラント埋入の外科手術を行い、その後数ヶ月かけて骨とインプラントが結合するのを待ってから、人工歯を装着するという流れになります。手術は局所麻酔下で行い、当院ではCTで事前にしっかりシミュレーションを行いますので、痛みやリスクを最小限に抑えて安全に執刀いたします。埋入後、個人差はありますがおおむね2~6ヶ月程度でインプラントが顎の骨と一体化します。その期間中は必要に応じて仮の入れ歯等で見た目や咀嚼を補うことも可能です。骨と結合したのを確認後、人工歯の装着を行えば治療完了です。多少の時間は要しますが、その分長期間安心して使える歯を手に入れることができます。
こうして一本の歯を丸ごと補うことができ、見た目も機能もほとんど天然の歯と変わらない状態まで回復させることが可能です。
インプラントのメリット
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審美性が高い:インプラントは歯ぐきから一本の歯が自然に生えているように見えるため、見た目がとても自然です。セラミックなどで作られる人工の歯(クラウン)は色や形も周囲の歯に合わせて作製でき、人前でも自分の歯と変わらない見た目で自信を持って笑えます。
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しっかり噛める(高い機能性):顎の骨にしっかり固定されるため、硬いものでも自分の歯のように強い力で噛むことができます。入れ歯のようにズレたり外れたりする心配がなく、食べ物本来の味を楽しみながら快適に食事ができます。
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違和感が少なく快適:お口の中で異物感がほとんどないのもメリットです。インプラントは入れ歯と違って取り外しの必要がなく一体化しているので、装着時の違和感が少なく会話も自然に行えます。しゃべっていて入れ歯がカタカタする、といったストレスもありません。
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長持ちしやすい(高い耐久性):適切なケアと定期的なメンテナンスを行えば、インプラントは10年、20年と長期間にわたり使用することも可能です。人工物であるため虫歯になる心配がない上(※歯周病には注意が必要)、骨としっかり結合していることで安定した噛み心地を長く維持できます。
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周囲の歯に負担をかけない:インプラントは単独で自立して機能するため、ブリッジのように隣の健康な歯を削って土台にする必要がありません。また、入れ歯のように他の歯に金具をかけることもないので、残っている歯への負担を最小限にできます。
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顎の骨の減少を抑えられる:歯を失ったままだと、その部分の骨は使われないため徐々に痩せていきます。インプラントは骨の中に埋め込まれて噛む力を直接骨に伝えるため、顎の骨の萎縮(骨吸収)を予防するのに役立ちます。将来的な顎の骨量の維持や、お顔の輪郭の変化を抑える効果も期待できます。
入れ歯・ブリッジとの比較
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入れ歯(義歯):歯を失った際の伝統的な治療法で、取り外し式の人工の歯です。メリットは手術が不要で比較的短期間・低コストで作製できる点ですが、デメリットもあります。入れ歯は噛む力が弱く、硬いものが食べにくかったり、ズレや外れの不安から食事や会話に支障を感じる方もいます。また、顎の骨に力がかからないため骨の痩せが進行しやすく、合わなくなって定期的な調整や作り直しが必要になることもあります。見た目にも金属のバネ(クラスプ)が見えるタイプでは審美性でインプラントに劣ります。
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ブリッジ:両隣の歯を削って土台とし、その上にダミーの歯を橋渡しするように装着する治療法です。メリットは固定式のため入れ歯より違和感が少なく、手術が不要で治療期間も比較的短い点です。しかしデメリットとして、健康な隣の歯を大きく削る必要があるため歯にダメージを与えてしまいます。支えとなる歯には大きな負担がかかり、将来その歯が虫歯や破折で失われるリスクも高まります。さらに、ブリッジでは失った部分の骨はやはり使われないため顎の骨が痩せていくことを防げません。また、ブリッジは土台となる歯の状態に寿命が左右されるため、平均して7~10年程度で作り直しが必要になることも珍しくありません。
インプラント治療の注意点
ここまでインプラントの利点を中心に述べてきましたが、インプラント治療にも注意すべき点やリスクがあります。他の治療法と比べて把握しておきたいポイントを整理します。
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外科手術が必要:インプラント治療は顎の骨に人工歯根を埋め込む外科処置を伴います。局所麻酔下で行い安全に配慮された手術ですが、術後には腫れや痛みが出る場合があります。大木歯科医院では痛みを軽減する対策を徹底しておりますが、手術である以上、多少の侵襲は避けられません。
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治療期間が長い:入れ歯やブリッジが数週間~1ヶ月ほどで完成するのに対し、インプラントは骨と結合する期間を含めて数ヶ月から半年以上の治療期間を要することがあります。お急ぎの場合やイベントを控えている場合は、治療計画を歯科医と十分相談する必要があります。
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費用が保険適用外:インプラント治療は基本的に保険が効かない自費診療です。そのため、他の治療に比べ費用が高額になります。当院でも1本あたり30~50万円程度(症例による)の費用がかかります。ただし、医療費控除の対象となる場合もありますので、費用面の不安はお気軽にご相談ください。
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定期的なメンテナンスが必須:インプラントを長持ちさせるには、治療後のセルフケアとプロによる定期検診が欠かせません。歯磨きが不十分だとインプラント周囲炎(歯周病と同様の炎症)を起こし、インプラントが脱落する恐れもあります。そのため、天然の歯以上に丁寧な口腔ケアと、歯科医院でのクリーニングが必要です。
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全身状態の確認:重度の糖尿病や顎の骨の病気など、全身の健康状態によってはインプラント治療が難しい場合もあります。事前の検査で安全に手術できるか判断し、必要に応じて主治医と連携しながら進めます。一方で、高齢の方でも健康であれば年齢制限はありません。実際に80代以上でインプラント治療を受けて元気に使っておられる患者様もいらっしゃいます。
以上の点を踏まえ、インプラント治療を受ける際は担当歯科医と十分に相談し、自分の状況に合った判断をすることが大切です。しかし、多くの場合、適切な対策とケアによってこれらのリスクは最小限に抑えられ、安全に治療を受けていただけます。当院でも事前の丁寧な説明と、万全の態勢で患者様の不安を取り除きながら治療を進めておりますので、疑問や懸念があれば遠慮なくお尋ねください。
噛めることの重要性と健康への影響
私たちがしっかり噛めるということは、単に食事の楽しみのためだけではなく、全身の健康維持に深く関わっています。歯が欠けたままだったり、うまく噛めない状態が続くと、次のような影響が生じる可能性があります。
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脳への刺激の減少:よく噛むことは脳への刺激となり、認知機能の維持に役立つとされています。逆に噛む機能が低下すると、脳の海馬や前頭葉への刺激が減り、記憶力や判断力の低下につながる恐れがあります。
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栄養バランスの偏り:噛みにくくなると、どうしても柔らかい食品ばかり選びがちです。例えば麺類や柔らかいパン、甘いお菓子などに偏り、野菜や肉類など栄養価の高い食品を避けてしまうことがあります。その結果、タンパク質やビタミン・ミネラルが不足し、筋力低下や免疫力の低下を招くことがあります。
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社会生活への影響:歯が抜けたままだったり、うまく噛めないことで、人前で話したり食事をしたりすることに自信を無くし、外出や会話を控えてしまう方もいます。口腔機能の衰えが原因で人付き合いが減ってしまうと、心理的なストレスや社会的孤立を招き、結果的に心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
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誤嚥性肺炎のリスク:噛む力や飲み込む力が衰えると、食べ物や唾液を誤って気道に飲み込んでしまう(誤嚥)可能性が高まります。誤嚥によって起こる肺炎(誤嚥性肺炎)は、高齢者の重篤な健康問題です。実際、厚生労働省が2021年に発表した日本人の死因第6位は誤嚥性肺炎であると報告されています。噛む機能・嚥下機能を維持することは、こうした命に関わるリスクの軽減にもつながります。
このように**「噛めない状態」が続くことは、単なる食の不便さに留まらず全身の健康リスク**となり得ます。裏を返せば、インプラント治療によって噛む力を取り戻すことは、栄養状態の改善だけでなく、脳や体の活力を維持し、健康寿命を延ばすことにもつながるのです。
オーラルフレイルとは?
最近では、高齢者のフレイル(全身的な虚弱)の前段階として、オーラルフレイルと呼ばれる概念が注目されています。オーラルフレイルとは、一言でいうとお口の機能の虚弱のことです。年齢とともに噛む力や飲み込む力、発音の明瞭さなど口腔の機能が衰え、食べこぼしが増えたり、飲み込み時にむせやすくなったり、会話でうまく発音できなくなった状態を指します。こうした口腔機能の低下は放置するとさらなる全身の衰え(フレイル)につながる初期サインであり、早めの対策が重要です。特に噛む機能の低下は、栄養不足による体力低下だけでなく、認知症リスクや寝たきりリスクの上昇とも関連することが指摘されています。
インプラントがオーラルフレイル予防に役立つ理由
歯を失った際の治療法はいくつかありますが、オーラルフレイル予防の観点から特に有効とされるのがインプラント治療です。インプラントは顎の骨に直接固定されるため、義歯(入れ歯)やブリッジに比べて自分の歯に近い感覚でしっかり噛むことができます。硬い食べ物でも問題なく噛めるので食事のストレスが少なく、バランスの良い食事を続けやすくなります。実際、しっかり噛んで食事をすることはストレスの軽減にもつながり、食欲や生活意欲の向上につながります。また、噛むことで脳への刺激が生まれ、前述のように認知機能の維持にもプラスに働くと考えられています。
さらにインプラント治療は、周囲の歯への影響がほとんどない点でも優れています。残った歯を削ったり、負担をかけたりしないため、お口全体の健康を保ちやすくなります。総合的に見て、歯を失った際にインプラントでしっかり噛める状態を維持することは、オーラルフレイルを防ぎ、心身の健康を保つうえで大いに役立つと言えるでしょう。
噛むことと認知症リスクの関係
最近の研究からは、噛む力の低下と認知症リスクの上昇との関連が指摘されています。例えば、東京医科歯科大学が高齢者を対象に行った研究では、奥歯できちんと噛めない人ほど認知機能が低下している傾向があることが確認されました。特に、歯を失ったまま放置しているケースでは、記憶を司る海馬や判断力に関わる前頭葉といった脳の重要部位において萎縮が進みやすい可能性が高いことが報告されています。また、日本老年医学会が2018年に発表した大規模調査では、残っている歯の本数が少ない高齢者ほど認知症を発症しやすいことが示されており、20本以上の歯がある人に比べ、10本以下しか残っていない人は認知症のリスクがおよそ1.9倍にも高まるという結果でした。
さらに興味深い点として、歯がほとんど残っていないにもかかわらず入れ歯やインプラントなどで補っていない人(つまり噛む機能を回復していない人)は、天然歯が20本以上残っている人と比べて認知症発症リスクが約1.9倍になるという報告もあります。裏を返せば、歯を失っても入れ歯やインプラントで噛む機能を補えば、こうしたリスクを低減できる可能性があるということです。実際、先の研究でも**「噛めるかどうか」が脳の健康に深く関係している**と結論付けられています。
以上のように、噛む力の維持は認知症予防の観点からも重要です。インプラント治療でしっかり噛めるようになることは、食生活の質を高めるだけでなく、将来の認知機能の低下リスクを抑える一助となる可能性があります。
※ちなみに、日本では「80歳で20本以上自分の歯を保つ」ことを目標とした8020(ハチマルニイマル)運動が推進されています。それだけ20本の歯を確保することが健康寿命に直結すると考えられているからです(実際、2016年の調査では80歳で自分の歯が20本以上ある方の割合が初めて50%を超え、平均残存歯数も約17本まで増加しました)。インプラント治療は、失った歯を補うことでこの8020運動の達成にも寄与し、健やかな老後を支える大きな力となります。
ayumikyobashi.com
8020zaidan.or.jp
三重県鈴鹿市 大木歯科医院のインプラント治療の特徴
インプラント治療は高度な技術と経験が求められる分野ですが、三重県鈴鹿市の大木歯科医院では安心して治療を受けていただけます。当院はこれまでに累計4,000件以上(※2021年時点)のインプラント症例実績があり、インプラント治療歴15年以上の豊富な経験を持っています。培ってきた知見に基づき、一人ひとりの患者様に最適な治療計画を立案し、ほぼ失敗のない高い成功率でインプラント治療を行ってきました。院長はアメリカのインプラント学会(AAID)認定を取得しており、国際水準の知識と技術に裏打ちされた治療をご提供しています。
さらに、インプラントを長持ちさせるためのアフターケアにも力を入れています。当院にはインプラント治療の知識を持つ歯科衛生士がおり、治療後は一人ひとりの患者様に合わせた定期メンテナンスを徹底しています。インプラントも天然歯と同じで、適切なお手入れを怠ると歯周病(インプラント周囲炎)によりダメになってしまうことがあります。そうならないよう、3~6ヶ月に一度の定期検診とプロフェッショナルケアで、インプラントとお口の健康を末長く守ります。
また、当院では歯科用CTを完備しており、事前の精密検査・診断に活用しています。通常のレントゲンでは平面的にしか把握できない顎の骨の状態も、CTであれば3次元の立体画像として詳細に解析できます。神経や血管の位置、骨の厚み・密度まで正確に確認した上でシミュレーションを行い、安全性を確保した治療計画を立てることが可能です。そのため、「インプラントを入れたいけれど不安…」という方にも、リスクを最小限に抑えた安心の治療をご提供できます。実際に撮影したCT画像はモニターで一緒に確認しながらご説明しますので、ご自身のお口の状態や治療方針をイメージしやすく、納得した上で治療に進めるよう配慮しています。
まとめ
歯を失ったままにせず、インプラント治療でしっかり噛める歯を取り戻すことは、見た目や食べやすさを向上させるだけでなく、全身の健康維持にも大きく寄与します。また、何でも美味しく食べられるようになることで毎日の楽しみが増し、生活の質(QOL)の向上にもつながります。入れ歯やブリッジと比べても多くのメリットがあり、オーラルフレイルの予防や将来的な認知症リスクの低減にもつながる可能性があります。歯科インプラントは決して安価な治療ではありませんが、それに見合うだけの価値と恩恵が得られる治療法と言えるでしょう。
なお、インプラント治療は成功率が非常に高いことも知られています。国際的な基準では、5年後のインプラント生存率が95%以上、10年後でも90%以上というデータが報告されています。適切な技術とメンテナンスによって、多くの患者様が長期にわたりインプラントの恩恵を受けておられます。
大木歯科医院(三重県鈴鹿市)では、経験豊富な歯科医師による安全・確実なインプラント治療を行っております。「歯が抜けたままで噛めない」とお困りの方や、インプラントに興味はあるけれど不安があるという方は、ぜひ一度当院へご相談ください。当院では無料相談も実施しておりますので、患者様の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な治療法をご提案いたします。三重県鈴鹿市でインプラントをお考えの際は、大木歯科医院が全力でサポートいたします。