管理栄養士ブログ

マスク生活で顎が痛い!コロナウイルスは顎関節症を引き起こす?

こんにちは!三重県の鈴鹿市にある大木歯科医院の管理栄養士兼トリートメントコーディネーターの伊藤です。

実は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、顎関節症の患者様が世界規模で急増している!ということをご存知ですか?
といっても、コロナウイルスが顎関節症を引き起こす…というわけではありません。コロナウイルスが世界中で流行ったことで、感染防止のために日頃からマスクをつけるという習慣ができましたよね。季節を問わず一日中ずっとマスクをつけている日もあるかと思います。実はそのマスク生活が、顎が疲れたり痛んだり、頭痛や口が開けづらいなどのさまざまな症状を引き起こすきっかけになっているというのです。
今回は、マスク生活と顎関節症の関係についてお伝えしていきます。

顎関節症とは

顎の関節や周囲の筋肉(咀嚼筋)が痛んだり動きにくくなることを顎関節症(がくかんせつしょう)いいます。
口を開けたり顎を左右に動かした時の雑音、口を大きく開けた時の痛み、口の開閉がスムーズに行えなかったり顎がだるかったり、また顎に限らず頭痛や肩こりなど、これらの症状は広範囲にわたって軽いものから重いものまで様々です。
症状のほとんどは一時的なもので自然に治ることが多いですが、顎関節症は悪くなったり良くなったりを繰り返します。一般的に20代前後〜30,40歳の女性に多いです。

厚生労働省:平成28年歯科疾患実態調査参照

顎関節症の主な症状

  • 口を開けると顎が痛い(顎関節部痛)
  • 大きく口を開けられない(開口障害)
  • 顎を動かすとカクンカクンと音がする(顎関節雑音)

なぜ顎関節症が起きるの?

顎の関節は耳の前下方に位置しており、その中心には関節円盤(かんせつえんばん)といわれる軟骨が存在しています。関節円板は顎が動く時に、骨と骨がこすれないようにクッションの役割をしながら、骨と骨がこすれないよう、顎の滑らかな動きを助けています。
その関節円盤が、何かしらの影響で正常な位置からズレていたり変形していたりすると、口を開けようとした時に顎が関節円板にひっかかって大きく開けなかったり、無理に力を入れて口を開けたときに顎が痛んだり、カクンと音が鳴ったりするのです。

顎関節症の原因

外傷的要因や精神的要因、行動的要因など、顎関節症の原因にはいろいろ考えられますが、これら原因のうちのどれかひとつだけが原因というより、複数の要因が関連して顎の動きに不具合を生じさせ、顎関節症になるといわれています。

  • 寝ているときの歯ぎしり、食いしばり
    本来、寝ている間は歯と歯は離れた状態ですが、日中のストレスにより、寝ている間に歯軋り、食いしばりをすると言われています。その力は体重の2倍ともいわれ、顎を痛みつけている要因となっています。
  • 起きているときの食いしばり
    起きている時にも食いしばりをしています。食事の時以外は歯と歯は離れた状態ですが、イライラしたり、何かに集中したりすると食いしばりをすると言われています。
  • 痛む側での偏った食事
    人それぞれ咬み癖があり、咬み癖のある方の顎が痛むことがしばしばあります。顎が痛む時には、逆側の方で噛むようにしましょう。
  • 頬杖や横向き、うつぶせでの就寝
    頬杖や横向き寝、うつぶせ寝は頭の重さが直接、顎の関節にかかるため、顎に負担をかけやすいので気をつけましょう。
  • 楽器を吹く
    力仕事や楽器の演奏もかなり顎に負担をかけます。顎が痛いときには、力仕事や楽器の演奏は控えましょう。
  • 精神的緊張やストレス、噛み合わせ等
    顎の周りの筋肉を緊張させ噛み合わせがアンバラスになり、無理な力が顎の関節にかかり負担をかけます。
  • その他猫背や片側に体重をかけて立つ、力仕事、口唇を噛むなど

マスクと顎の痛みの関係

アメリカ歯科医師会の報告によると、歯科医師の62%がマスク生活による患者様の顎関節症の増加を認めています。
マスクをすると、マスクのひもに顎が引っ張られるので口や顎に、知らないうちに力が入り、筋肉の緊張を引き起こしやすくなってしまいます。長時間のマスクで顎が動かしづらくなることから、顔まわりや首、肩の筋肉までもが緊張し、歯を食いしばりやすくなるのです。
息がしづらいので、顎を少し前に突き出して、マスクと顔の間に隙間を作る動きをしたことはありませんか?
そのような顎の緊張による食いしばりや、普段とは違う顎の動きが顎関節症の一因となっているのです。

対策

マスクをしていても、食べたり飲んだりしていない時はお口の力を抜いて、上下の歯が少し離れている状態をキープするようにしましょう。まずは顎の周りの筋肉を緩めることが大事です。
マスクを外した時はゆっくりお口を開けたり閉じたりして、こわばった顎の筋肉をリラックスさせてあげるのも効果的です。一日数回、顎の筋肉をマッサージしたり、首や肩を回して筋肉をほぐしましょう。
小さすぎるマスクは顔の筋肉を過剰に圧迫してしまうので、ご自身の顔のサイズにあったものを使用するようにしましょう。また、マスクがずれた時は顎でマスクの位置を直すことはやめ、マスクをつけたまま口元だけを出す「顎マスク」は顎に過度な負担がかかるためやめましょう。

もし顎関節症になってしまったら?

顎関節症の治療方法としては、マウスピース療法や理学療法、薬物療法などが挙げられます。関節円盤は正常な位置からズレて1週間もすると、関節円板周囲の組織が乱れ、後部靭帯が伸び、元の位置に戻る可能性は低くなりますが、ズレた状態でも時間の経過とともに馴染んでいくため症状は和らぎます。そのため手術などの外科的治療を行うことはなく、前述した治療方法が優先されます。
顎関節症は顎に過剰な力がかかることが主な原因なので、痛みのある状態や症状を自覚してまもない段階では、硬いものは噛まず、口を大きく開けたりせずに、まずは安静に過ごしましょう。
数週間経っても症状が緩和しないようであればナイトガードを装着して顎の関節に隙間を作り、関節円板への負担を減らします。ナイトガードの作成は歯医者で行えます。診査診断後、歯型をとって、1週間ほどでお渡しさせていただきます。

→顎関節症の詳しい治療はこちら

お気軽にご相談ください

マスク生活ではお口を大きく開けることもすくなくなっているので、症状が進行してから気づく人も少なくありません。

顎関節症は顎を動かす時に痛みが出たり、お口を大きく開けられなくなるなどの症状が現れるため、お食事がしづらくなったり、食べられるものを選んでお食事しなければならなくなるかもしれません。そのような状態では、バランスのよいお食事を摂ることは難しくなってしまいます。
マスク生活ではお口を大きく開けることもすくなくなっているので、症状が進行してから気づく人も少なくありませんが、そうなる前に、もしも顎の痛みなどの不安な症状がございましたら、近くの歯医者で診てもらいましょう。

 

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