IODと総入れ歯の違いは?費用・噛む力・寿命を比較
こんにちは。三重県鈴鹿市にある歯医者、大木歯科医院です。
IOD(インプラントオーバーデンチャー)と総入れ歯の主な違いは、入れ歯を支える方法と噛む力です。
総入れ歯は歯ぐきとの吸着で固定するのに対し、IODは2〜6本のインプラントを土台として入れ歯を固定します。これにより、IODは総入れ歯の約2〜3倍の噛む力を回復でき、装着時の安定感も高まります。
費用は総入れ歯が保険適用で1万〜3万円程度、IODは自由診療で50万〜300万円程度が目安です。
総入れ歯の使用に不便を感じている方や、より安定した入れ歯をご検討中の方に向けて、今回はIODと総入れ歯の違いを、費用・噛む力・装着感・寿命などの観点から解説します。
IODと総入れ歯について
IOD(インプラントオーバーデンチャー)とは
IOD(インプラントオーバーデンチャー)は、あごの骨に2〜6本のインプラントを埋入し、その上に取り外し式の入れ歯を装着する治療法です。固定式のインプラントと、取り外し式の入れ歯、それぞれの長所を活かした治療法です。
インプラントが入れ歯の土台となるため、従来の総入れ歯のように歯ぐきの吸着のみに頼ることなく、安定した装着が可能になります。また、グッと噛んだ時の力もインプラントが受けてくれるため、食事もしやすくなります。取り外しも可能なため、毎日のお手入れもしやすい構造となっています。

総入れ歯とは
総入れ歯は、すべての歯を失った方に用いられる取り外し式の義歯で、歯ぐきとの吸着力によって固定されます。保険適用のレジン床総義歯のほか、自由診療の金属床義歯やシリコン義歯など、複数の種類があります。
外科手術が不要であり、比較的短期間かつ少ないご負担で作製できる点が特長です。一方で、噛む力の弱さや装着の不安定さ、違和感を感じる方も少なくありません。

IODと総入れ歯の比較表
IODと総入れ歯の主な違いを、項目別に整理しました。

噛む力の違い
IODは総入れ歯に比べて約2〜3倍の噛む力の改善が期待できます。
総入れ歯の噛む力は天然歯に比べて低く、硬い食材や粘着性のある食材は食べにくい傾向があります。
一方、IODは入れ歯がしっかり安定するため、食事がしやすくなり、さまざまな食材をより快適に楽しめるようになります。
総入れ歯では食べにくい食材の例
- ステーキや厚切りの肉類など(繊維質のあるもの)
- お餅やガムなど(粘着性のあるもの)
- たくあん、せんべい、フランスパンなど(硬いもの)
- りんごの丸かじりやとうもろこし
- いか、たこ、こんにゃくなど(弾力のあるもの)
IODによる食生活の変化
IODに切り替えた患者さまからは、食事の幅が広がったというお声が多く寄せられます。しっかり噛めるようになることは、食事の満足感が高まるだけでなく、よく噛むことで消化や栄養の吸収が良くなり、全身の健康にもつながります。
IODでの食事に関する詳細は、「IOD装着後の食事ガイド|噛む力3〜5倍で広がる食の選択肢」の記事をご参照ください。
装着感と違和感の違い
IODは上あごを覆う部分を小さくでき、味覚や温度感覚を保ちやすくなります。
上あごの場合
総入れ歯では、吸着力を確保するために上あごを覆う「口蓋床(こうがいしょう)」と呼ばれるピンク色の部分が必要です。この部分があることで、味覚や温度感覚が鈍くなる、違和感が強い、嘔吐反射が出やすいといった問題が生じることがあります。
IODの場合、インプラントが入れ歯を支えるため、口蓋床を小さく設計したり、症例によっては設けないことも可能です。これにより、食材本来の温度や味を感じやすくなり、食事の満足度が向上することが期待できます。
下あごの場合
下あごの総入れ歯は、舌の動きや唾液の影響により、構造上どうしても安定しにくい傾向があります。下あごの入れ歯が外れやすいというお悩みは多くの患者さまに共通するものです。下あごへのIODの適用は、こうした安定性の課題を大きく改善できる可能性があります。
IODの違和感や慣れるまでの期間については、「IODの違和感はなぜ起こる?原因と対処法を解説」の記事をご参照ください。
費用と長期的なコストの考え方
初期費用はIODが高くなりますが、寿命を考慮すると長期的なコスト差は縮まります。
初期費用の目安
・ 総入れ歯(保険適用):1万〜3万円程度
・ 総入れ歯(自由診療):20万〜50万円程度
・ IOD:50万〜300万円程度(本数や使用するアタッチメントの種類により変動します)
長期的なコストの考え方
総入れ歯は3〜5年程度で適合性が低下し、作り替えが必要となるケースが一般的です。一方、IODは適切なメインテナンスを継続することで、10年以上の使用が可能なケースも多くあります。長期的に見れば、トータルコストの差は徐々に縮まっていきます。
また、IODによって得られる「安定して噛める」「外れる不安が少ない」「食事を楽しめる」といった生活の質(QOL)の向上は、費用面だけでは測れない価値があるといえます。
IODの費用に関する詳細は、「インプラントオーバーデンチャーの費用は?相場・内訳をわかりやすく解説」の記事をご参照ください。
治療期間と手術の違い
IODは3〜6ヶ月、総入れ歯は1〜2ヶ月が目安です。
IODの場合
IODでは、インプラント埋入手術後に骨とインプラントが結合するまでの期間(オッセオインテグレーション期間)が必要です。下あごで2〜3ヶ月、上あごで3〜6ヶ月程度を要します。その後、入れ歯の作製と調整を経て、治療完了となります。
治療の詳しい流れは「【IODの治療期間】平均3〜6ヶ月が目安|来院回数・治療の流れ」、手術時の痛みについては「手術が怖い方へ|インプラントオーバーデンチャーの治療の流れ・術後・痛みを徹底解説」の記事をご参照ください。
総入れ歯の場合
総入れ歯は外科手術を伴わず、型取りから完成までの治療期間は一般的に1〜2ヶ月程度です。通院回数は4〜6回程度が目安となります。
IODと総入れ歯、それぞれの適正
IODが適している方
- 総入れ歯の使用に不便を感じている方
- 噛む力をしっかり回復したい方
- 入れ歯が外れる不安をなくしたい方
- 味覚や温度感覚を保ちたい方
- 全身の健康状態が手術に支障のない方
- 長期的な視点で口腔の健康に取り組みたい方
総入れ歯が適している方
- 外科手術を避けたい方
- 費用を抑えたい方
- 全身疾患があり手術が難しい方
- あごの骨が極端に少なく、骨造成も難しい方
- 短期間で治療を完了させたい方
IODのメリット・デメリットの詳細については、それぞれ別記事で解説しております。
「インプラントオーバーデンチャーのメリットは?入れ歯の違いとの向いている人」
「IODのデメリットと失敗リスク|インプラント義歯で後悔しないために」
総入れ歯からIODへの変更について
多くのケースで変更が可能です。入れ歯の状態によっては作り直しになる場合もあります。
現在お使いの総入れ歯を活用してIODに移行できるケースもあります。お使いの入れ歯の状態が良好で、IODのアタッチメント(連結装置)を組み込むのに適した形状であれば、加工してそのままお使いいただける可能性があります。
一方で、入れ歯が経年劣化している、適合が悪い、噛み合わせが合っていないといった場合には、新しく作製する方が長期的に良好な結果につながります。まずは精密な検査を受けたうえで、ご自身に適した方法をご相談ください。
まとめ
総入れ歯とIODは、どちらも歯を失った方の生活を支える大切な治療法です。どちらが優れているということではなく、患者さまお一人おひとりの状態とご希望に応じて、最適な選択肢をお選びいただくことが大切です。
ご自身に合った治療法を見つけるためには、専門的な検査と歯科医師との丁寧な相談が欠かせません。
大木歯科医院では、カウンセリングを通じて、IODをはじめとする治療法のご説明、検査結果に基づいたご提案、費用のお見積もりまで、丁寧にご案内しております。
ご予約・お問い合わせは、お電話またはWEB予約フォームより承っております。まずはお気軽にご相談ください。
略歴
- 国立徳島大学歯学部卒業
- American Academy of Implant Dentistry
- Associate Fellow
- Astra tech implant インストラクター
- Osstem implant インストラクター
- 歯科医師臨床研修指導歯科医
資格・所属学会
- アメリカインプラント学会(AAID)
- 日本口腔インプラント学会
- 日本審美歯科学会
- 日本臨床歯周病学会
- 日本小児歯科学会
- 東京SJCD会員
一人ひとりの多様なニーズにお応えします
当院は難しい症例を含む多くの症例を経験しており、患者様の理想通りの治療をご提供できるよう、チーム一丸となって取り組んでいます。