矯正症例紹介

小臼歯の埋伏歯開窓牽引と全体矯正

埋伏歯とは?

埋伏歯(まいふくし)とは、歯の全てまたは一部が、顎の骨や歯肉の中に埋まっている歯をいい、歯が完全に埋まっているものを「完全埋伏歯」、一部が見えているものを「半埋伏歯」といいます。

埋伏歯は必ずしも抜歯の必要があるというものではなく、問題がなければそのままにすることもありますが、噛み合わせや周囲の歯や骨に悪影響を及ぼす場合には治療が必要になります。

小臼歯の埋伏歯の症例

20歳代女性の患者様の症例です。小臼歯とは前から数えて4番目と5番目の歯をいいます。

口腔内を拝見したところでは一見問題なさそうに見えますが、レントゲン写真で見ると5番が完全埋伏、6番の奥歯の根っこに向かって生えてきており、このまま放置すると、6番の奥歯に悪影響を及ぼす恐れがありました。

完全埋伏している5番だけを抜歯するのは物理的に難しく、出来るだけ患者様に負担の少ない方法をとカウンセリングした結果、右下4番を抜歯して、完全埋伏の5番の小臼歯を「開窓牽引」することになりました。

開窓牽引とは?

埋伏歯を良好な位置まで引っ張り出すために、歯肉を切開して埋伏歯の表面を露出させて、そこに器具を付けて矯正する治療です。

右下4番を抜歯したあと、完全埋伏の5番に器具を装着しました。

全体の歯並びの矯正

もともと歯が生えるスペースが少ない患者様でしたので、上の小臼歯を抜歯して、上下全体の歯並びを整えました。

上の歯並びも整えていきます。

器具を装着してから4ヶ月ほどで、完全埋伏していた歯がしっかりと見えるようになりました。

Before

After

全体の歯並びが整うまでには、この患者様の場合およそ3年かかりました。

まとめ

  • 顎の骨や歯肉の中に埋伏歯がある人がいる
  • 埋伏歯は悪影響を及ぼす場合がある
  • 埋伏歯を良好な位置まで引っ張り出す開窓牽引という矯正術がある
  • 歯の生えるスペースが少ない人は抜歯して全体の歯並びを矯正することがある

埋伏歯の開窓牽引や全体矯正をはじめ、あらゆる治療計画にご納得いただけるようしっかりとカウンセリングいたしますので、きっと安心して治療を受けていただけると思います。

主訴
歯のでこぼこが気になる
診断名、主な症状
右下5埋伏歯、左下5先天性欠損 右下5を放置することによって右下6の歯根を吸収したり、押されて歯列不正が進んだりしてしまう可能性がある
年齢 性別
20代前半 女性
治療に用いた主な装置
マルチブラケット装置(ラビアルブラケット) リンガルアーチ
抜歯部位
上顎小臼歯抜歯(右上4左上4)
治療期間
牽引1年、動的治療期間2年
治療費
¥968,000-
リスクと副作用
歯の表面にわずかなひび割れ(クラック)を生ずる可能性がある
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